円形脱毛症
円形脱毛症について
生き物には外から侵入してきた細菌やウイルスなどと戦う免疫という仕組みがあります。
通常であれば外的と戦う仕組みである免疫(主にリンパ球)が、自分の毛包をターゲットとして攻撃してしまうことがあり、その場合自己免疫性疾患を発症します。
未だ、各種自己免疫性疾患の原因については明らかにされていないことも多いですが、もともと遺伝的な要因があり、さらにストレス、感染症、お薬などのきっかけが加わることで免疫のバランスが崩れ、自分自身の細胞を攻撃し始めてしまうとされています。
円形脱毛症の方は、免疫細胞(リンパ球)が自分自身の毛をつくる細胞を攻撃してしまい、毛包周囲に炎症を起こします。
炎症によるダメージを受けた毛は細く弱り、毛が抜けてしまいます。
円形脱毛症に関する検査
円形脱毛症は自己免疫疾患であるため、他の自己免疫性のご病気を合併されていることがあります。
また、アトピー素因(アトピー性皮膚炎、アレルギ-性鼻炎、アレルギー性結膜炎など)をお持ちの方は、円形脱毛症の発症リスクが高まります。
円形脱毛症を発症された方は、他の合併症の可能性がないか、他の脱毛の原因がないかなどを確認するために血液検査を行うことをおすすめしております。
円形脱毛症の治療
自分の毛髪細胞を攻撃しているリンパ球による炎症を食い止めるためにステロイド剤の外用や皮下注射、紫外線治療を行います。
また、血流を促進することで育毛を促す薬の外用したり、抗アレルギー剤やビタミン剤を内服することもあります。
病気の勢いが強く、脱毛部位が多発する場合、頭部全体の毛が抜けたり、眉毛や体毛が抜けて脱毛が体全体に広がる場合があります。
その場合、入院してステロイドの点滴治療が必要となることがありますので、治療適応を判断し、総合病院や大学病院に紹介いたします。
【局所紫外線療法】
当院では最新の局所光線治療器を取り扱っております。
光線療法 セラビーム UV 308 mini LED
局所紫外線療法は円形脱毛症にも保険適応があります。
脱毛部位に照射することで、炎症を抑制し、発毛を促す効果が得られます。
照射時に痛みはありません。
局所紫外線両方は保険診療になります。
光線療法の保険点数は340点です。
照射する面積に関わらず一律です。
光線療法1回あたりの実際のご負担
・3割負担の方 1,020円
・ケナコルト(ステロイド剤)局所注射療法
細い針で脱毛部位に注射します。痛みは軽度です。
光線療法と併用するとさらに改善しやすくなります。
最短で2週間毎に脱毛部位に局所注射を行います。
保険適用のある治療法です。
3割負担の方で1回500円程度のご負担となります。
*1回の治療における投与量には限度がありますので、広範囲に脱毛がある場合には全体に投与することが難しい場合もあります。
円形脱毛症の注意点
生活習慣
ストレスは円形脱毛症の発症要因、増悪要因となります。
健康的な生活習慣を心がけましょう。
治療の経過について
円形脱毛症は治療開始後もすぐに改善するわけではありません。
通常の治療では、毛が生え、脱毛斑が目立たなくなるのに半年ほどかかります。
脱毛症に対して不安やストレスを感じられ方も多いのですが、焦らず根気よく治療する必要があります。
ステロイド剤の局所注射や光線療法を併用することで、病態を安定させ早めの発毛を促すことができます。
一旦症状が改善しても脱毛斑をくり返すことも多いご病気ですので、継続した治療が大切です。
合併症について
その他、円形脱毛症を発症された方の中には他の自己免疫の疾患を合併されている方もおられます。
円形脱毛症と合併しやすい甲状腺の病気や他の自己免疫疾患がないか、円形脱毛症以外の脱毛の原因として、消耗性の疾患、梅毒など感染症にともなう脱毛、体にとって重要な微量元素(亜鉛、鉄など)の欠乏による脱毛などがないか血液検査で確認することをお勧めする場合もあります。